ふくろうさんをお迎えするか考える時に一番気になるのはやはりご飯事情ではないでしょうか
事実生肉を捌かなければならない点で飼育を諦めてしまう方も多くいらっしゃいます
そこで今回は気になるふくろうさんのご飯事情について解説していきます
全て解説した結果かなり長い記事になってしまいました
分けて読むなどしてパンクしないように気を付けてください
はじめに
ふくろうさんは一日に与えるべき栄養量は明らかになっておらず、与えるご飯の種類や与え方などにも様々な意見があります。
どれが正解と断言できるものでもないためご自身でベストだと思うものを判断して与えることをオススメします
ご飯の種類
ふくろうさんのご飯にはヒヨコ、ウズラ、マウスの3種類があります
それぞれの違いについてまずは解説します
ヒヨコ
ヒヨコはこの中で最も安価で低栄養なご飯です
特徴としては
1骨が柔らかい
2羽が多くペリットの材料になる
3雑菌が少なく衛生的
4流通量が多く在庫が安定する
と言ったことがあげられます
ヒヨコは鶏卵場で生まれたオスヒヨコが使用されていることが多いです。
何故なら鶏卵場では卵を産むメスが必要でオスは不要です。オスを食肉用のブロイラーとして育てる養鶏場もありますがそうでないオスヒヨコを生まれて一日も経たずにに冷凍したものがふくろうさんのご飯になります
そのため食事などを通じて体内に侵入する雑菌や寄生虫が入り込む隙がなく比較的衛生的になります
また、卵は日本人の生活に多く使われるため結果としてご飯用のヒヨコの流通も安定します
また、栄養価は他のご飯と比べれば低いものの極端に不足しているわけではなく、ヒヨコのみでも十分に飼育することは可能です
ヒヨコのみを与えていた結果栄養不足ではちさんの換羽が長引きました。
ウズラやマウスとの混合食やサプリメントなどとの併用をオススメします
一羽から取れる可食部は25~30g程です。これは丁度小型のふくろうさんに与える一日のご飯の量と同じなので小型のふくろうさんを飼うには丁度いいご飯です
ウズラ
ウズラは中価格中栄養なご飯です
特徴としては
1炭水化物が多く消化に優しい
2低カロリー高タンパク
3お肉に水分が少なくやや粘り気がある
4骨が硬く鋭い
5体内に雑菌や寄生虫がいる
などがあげられます
ウズラは栄養価としてはかなり良いとされています。しかし小型種ではウズラを与えていたところ栄養の過剰摂取によって消化不良を起こし、ヒヨコに変えたところ治ったという話も聞いたことがあるため万能とは言えないようです
お肉は水分が少なくベチャっとした粘り気のある触り心地で、その影響でヒヨコに慣れたふくろうさんでは食べがヒヨコに比べて遅かったり食べなかったりすることがあります。
その際には少し水をかけてあげると食べやすくなります(血液などが流れないように1ml程度の極少量で)
また、骨が硬く鋭いことや捌く際に骨が裂けてより鋭くなることもありそれによって食道を傷つけてしまう恐れがあると言われています
うずらの捌き方はこちらの動画をご覧ください
ヒヨコとは異なりウズラは食用の「ウズラの卵」の生産性が落ちる2歳ごろのメスが使用されていることがあります(一部専用養鶉場を持っている場合もある)
そのため2年間食事や生活の中で体内に蓄えた寄生虫なども一緒に冷凍されています
与える際には消化器官は除去しますが途中で千切れてしまったり、消化器官以外にも存在する可能性もあるためウズラを与える際は定期的に糞便検査などで寄生虫がいないかを確認するようにしましょう
健康診断についてはこちらの記事をご覧ください
ちなみに寄生虫は家庭用冷凍庫ですと1か月程冷凍し続ければ死滅するそうです。ただし冷凍しすぎてお肉が傷まないよう気を付けましょう
一羽あたりの可食部は50~60gとヒヨコの丁度倍になります
マウス
マウスは高価格高栄養です
マウスの特徴は
1全体的に高カロリー
2脂肪分も多く含まれている
3ふくろうさんが好みやすい
4流通が不安定
などがあげられます
マウスは上記2種と比べて栄養価が非常に高くバランスもいいと言われています
また、ふくろうさんの食いつきもかなりいいそうです
そのため、ふくろうさんのご飯は全てマウスにするべき!という意見もあれば
マウスを与えると食いつきが良すぎて他のご飯を食べなくなるので流通が止まった時に困る! という意見もあるようです
また、マウスは高価で毎食与えるのは家計に響くので週に1回など他のご飯と複合的に与えているご家庭も多いようです
サイズによって名称が異なり
ピンクマウス<ファジーマウス<ホッパーマウス<アダルトマウス
と順に大きくなっていきます
ウズラと同様、その高い栄養価から消化不良を起こすケースも確認されているため与える際は便の様子などをしっかりチェックしてあげてください
番外編
スーパーのお肉はあげていいの?
基本的にはダメです!!!
スーパーで販売されているお肉は熟成のために絞めてから数日寝かされていることや、血や骨が含まれていないことからふくろうさんに与えるご飯としては全く適していません
万が一ヒヨコなどが無くなってしまった場合に非常食として与えてよいとも言われていますが決して十分なものではありません
そもそもご飯を切らすことが絶対に無いように管理するようにしましょう
c.f. 加工肉
店舗によってはオリジナルフードなどの名称でブロック状に成型された加工肉をご飯として販売していることがあります
しかしこれらのフードは欠品すると欠品期間が長いことや同じものを他のお店で入手することができないことなどから基本的にオススメされていません
またカットご飯同様、一度ショップで解凍されて鮮度が低下しているため与えることは推奨されていません
ヒヨコ、ウズラ、マウスなどの欠品しても他のお店に買いに行けるものをご飯にするようにしましょう
カットで買うか未処理で買うか
ヒヨコ・ウズラ・マウスは多くのお店で
・カット済み(処理済み)
・未処理
の2つにわけて販売されています
カット済みとは既に一口サイズにカットされており解凍するだけで与えられるようになっているご飯や、内臓のみ処理された処理済みが販売されています
未処理とは絞めて冷凍したそのままのものを指します
結論から申し上げると、未処理のものを購入し与える直前に解凍、処理をすることが望ましいです
その理由やそれぞれの特徴について詳しくはこちらの記事にまとめています
月々の費用は?
ここまでご飯の種類を見てきましたが実際月々ご飯にどれくらいお金がかかるのでしょうか
ふくろうさんのご飯代は月々2000~15000円程です
何故ここまで振れ幅があるかというとご飯の費用は
・ご飯の種類(ヒヨコ・ウズラ・マウス)
・カット済みか未処理か
・ご飯の量(≒ふくろうさんのサイズ)
によって変わってくるからです
ご飯の種類ごとの費用
未処理/一羽・一匹 | カット済み/一羽・一匹分 | |
ヒヨコ | 60~100円 | 100~150円 |
ウズラ | 200~300円 | 250~300円 |
マウス | 70~200円(マウスのサイズによる) | 200~250円 |
ご飯の種類によって費用にはこのようにかなりばらつきがあります
ご飯の量
これもどの程度与えるべきなのか人によって意見が分かれてくるポイントになりますが
小型種で体重の15%~20%
大型種なら体重の10%
と言われています
アフリカオオコノハズクのはちさんなら小型種なので
体重180g×15%=27g
およそヒヨコ一羽分になります
ただしこれもあくまで通説で体重の7%の食事で健康を維持している大型のふくろうさんもいます
また、換羽期には食欲が落ちるなど時期によっても食べる量が変わってきます
あくまで目安の%として考えるのが良いでしょう
ふくろうさんの体重
参考にふくろうさんのおおよその体重を一部ご紹介します
小型種 | アフリカオオコノハズク コキンメフクロウなど |
100g~180g |
中型種 | モリフクロウ メンフクロウなど |
300g~500g |
大型種 | ベンガルワシミミズク メガネフクロウなど |
800g~1300g |
超大型種 | ワシミミズク シベリアワシミミズクなど |
2㎏~4㎏ |
(ここでの分類、および体重は私の経験、独断を含みます)
保存方法は?
ご飯は全て冷凍されているので冷凍庫での保管になります
お肉が傷んでしまわないよう長くても1~2か月分までを購入し冷凍庫で保管しましょう
冷凍庫は人用の食品を入れている冷凍庫と同じでも構いませんし別途小型の冷凍庫を購入して保管しても構いません
容量や気持ちと相談して決めましょう
解凍方法は?
ふくろうさんのご飯の解凍方法はこちらの記事に詳しく書かせていただきました
ご飯は一口大?丸々あげる?
ふくろうのご飯は一口大に切ってあげる方法と嘴や内臓などを処理した後細かくせずに与える方法があります
どちらが正しい というよりはそれぞれにメリットがあるので使い分けるようにしましょう
ただしウズラに関しては骨がかなり硬く、丸々与えるのには向いていないのでウズラは一口大に切って与えるようにしましょう
一口大に切るメリット
一口大に切るメリットは
「ピンセットで与えることで人や手に慣れてくれやすいこと と、フライト訓練が出来ること」です
フライト訓練はショーなどで見せるためのものではなくふくろうさんが自分から運動する機会を作ってあげることで肥満を防止するために行うものです
はちさんも誰かに見せたり外を飛ばせるつもりはありませんが運動目的で時々行っています
その様子はこちらからチェック!!
丸々あげるメリット
内臓や足などだけ処理し、丸々あげるメリットは
「ふくろうさん自身でちぎりながら食べることで全身の筋肉を使ったり、
くちばしもすり減って伸びにくくなること」です
また、どうやって食べよう どこから食べようとふくろうさんが考えることで食事の楽しみを増やしてあげることもできます
まとめ
ふくろうさんの飼育でネックになりやすいご飯問題ですが飼ってみれば下処理はただの作業なのですぐに慣れてしまいます
むしろどのご飯を、どれくらい、といった未だに明らかになっていない部分が非常に厄介
明らかでないからこそ様々な意見があってどれを信じればいいのかわからなくなってきます
それ故に少しピリピリしやすい内容だったりもします
ですが明らかでないからこそ情報共有は非常に重要です
みんなが気軽に意見を出し合って高めあえるふくろう業界になればいいなと思います
もし何か知りたいことがあればお気軽にお問合せやコメント、Twitterからご連絡下さい!
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